刑法概観
教科書をざっくりと通読。
民法よりも条文数が小さいためか。あるいは人を裁くという行為のためか、さまざまな学説があるよう。
刑法の文字だけで個々の犯罪に対して刑罰を決めるのは、難しい作業に感じた。なぜなら、犯罪の性質や手法はテクノロジーや常識が日々変化する中で、その隙をつくようにどんどん生まれているだろうから。例えば、サイバーテロなんかもそうだろうし、セクハラの定義に関する部分だってそうだろう。
他には、刑法と現行憲法は緩やかに統合されたもののようだ。今までは、刑法というのが、憲法から展開、派生して成立したのではないかと踏んでいた。しかし、どうもそうではなくて、明治時代から綿々と続く刑法典に手を加えながら、刑法自体が進化してきたように見えた。
1-1 公共の福祉
私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
なるほど。
社会性が問われるんですね。
公共の福祉とはなんぞや、適合とはなんぞや、が絶妙なところなのでしょうか。
社会共同生活全体としての向上、発展が公共の福祉であるとのことで、市の区画整理なんかには基本的に従わなければならない模様。嫌ですね、立ち退きさせられるのって。大昔にありました。そして、ご近所さんは、立ち退きがあると知っていたはずなのに家を新築し、いざとなると、知らぬ存ぜぬの顔で立ち退き料をせしめたと、もっぱらの噂でした。当時は子供でしたので、実際はどうだか知りません。やっかみもあったのかもしれないですし。
さてさて、本当に向上、発展だけで良いのか、これは現状維持も含まれるのかは気になります。例えば、自分の家の竹が育ち過ぎて、垣根を超えて隣の公園にまで生え出して、公園の敷地を占有するという場合。このとき、公共の場である公園の面積が減ることで、確かに公共の福祉を毀損していますが、たとえ竹を切ってしまったとしても、公園は現状回復がなされただけであって、公園自体が向上、発展しているわけではないです。
利益と調和というのも難しいところで、調和の程度によりますよね。楳図かずお先生のご自宅はたいそう目立っていましたけど、あの景観は調和していないといえばしていないし、個性を高め合うといえば調和していることにもなるんでしょうし。